今回紹介するのは、松浦東皐の『家相方鑑大奇書』(永楽堂、明治35年)という本です。

この本は、東皐が他界した後に、彼の遺稿として、松浦東楊(嫡子)により編集・出版されました。

『一番正しい 家相と方位の見方』(永楽堂書店、大正14年)という題名でも再版されています。

東皐は、家相学の権威として知られる松浦東鶏の孫です。

この本は、東鶏派の家相と方鑑が簡潔にまとめられた名著です。

 

特に評価できるのは、東鶏派の奥義の中でも秘匿性が高い「九疇井田法(きゅうちゅうせいでんほう)」について解説していることです。

井田法とは、建物と宅地を縦と横の線で井の字型に分割する方法です。

上の図で「鬼門凶地」と書かれた箇所が、井田法における北東の領域です。左上付近の赤い点線(縦線)と赤い実線(横線)に囲まれた領域のことです。

図中、「丑寅」と記されている扇形の領域は、磁石の北東45度の範囲で、方鑑に用います。(詳しくは松浦東鶏『方鑑精義大成』を参考にしてください。)

東鶏派は、方鑑の方位の定め方(大天地の法)と、家相の方位の定め方(小天地の法)が異なっていたのです。

しかし、明治時代以降は、360度を8分割する松浦琴鶴の家相法が支持され、井田法を用いる人は減りました。

井田法について解説している書籍は少ないので、『家相方鑑大奇書』は家相の古法を理解する上でとても貴重です。

 

[補足1]完全には理解できない

『家相方鑑大奇書』を読むだけでは、九疇井田法を完全に理解することはできません。

東鶏派の井田法についてさらに詳しく知りたければ、『宅相内門極秘伝書』や『家相切紙伝』や『星州国祐直伝』などの奥伝を読む必要があります。

 

[補足2]四神中央之巻

今回は、九疇井田法に注目して記事を書きましたが、『家相方鑑大奇書』は、東鶏派や天王寺派の門外不出の奥義書『四神中央之巻』の内容を公開したという点でも高く評価できます。

『家相方鑑大奇書』では内容が簡略化されていますが、もっと詳しく学びたければ『地理風水 四神玄機中央之秘巻』という相伝書が参考になります。