今回は、松浦東鶏の『方鑑精義大成』を参考に、「方宿(ほうしゅく)」と「旅宿(りょしゅく)」について解説します。

建設工事や引っ越しの方位の吉凶を判断することを方鑑と言います。

たとえば、住んでいる家の敷地内に土蔵(別棟)を建てる場合、鬼門を避けて北西を選ぶといったように、まず、家相による吉凶を検討します。

そのうえで、天徳・天道など、方鑑上の吉方位に土蔵を建てる計画を立てます。

方鑑の吉凶方位は時間とともに変化(飛泊)するので、土蔵を建てる方位に吉神が在泊する時を見計らって、工事を開始することになります。

 

方位の吉凶を判断する基準地点を「方宿」と言います。

上の例の場合、すでに住んでいる家の話なので、方宿はこの家にあります。

ですから、家の中心に磁石を置いて、方位の吉凶を検討します。

※松浦東鶏派は方鑑と家相の方位の定め方に違いがあります。これについては、過去の記事を参考にしてください。

→松浦流家相極秘「九疇井田法」

 

通常、方宿は住んでいる家に位置しているので、単純に家の中心点に磁石を置いて方位を検討すればよいのですが、『方鑑精義大成』には例外が示されています。

建設工事を開始する少し前に、他人の家に長期滞在した場合についての話です。

東鶏によると45日間、同じ場所で寝ると、方宿が定まります。

もし、他人の家に45日以上泊まった場合、方宿が自宅から他人の家に移動します。

他人の家に移動した方宿のことを「旅宿」と呼びます。

その後、自宅に帰って、すぐに家の増築を開始する場合、増築箇所が他人の家から見て吉方位にある必要があります。

自宅に帰った後、45日経過すると、方宿は再び自宅に戻ります。

ただし、方宿の移動は、同じ場所で45日間連続で寝ることが条件です。

もし、途中で1日でも別の場所で寝た場合、宿泊日数は再び1から数え直すことになります。

 

さらに『方鑑精義大成』には、便所と方宿の関係について興味深い記述があります。

引っ越しをする場合、旧宅の便所を取り除く必要があるというのです。

もし、取り除かなければ方宿が旧宅に残ってしまうので、吉方位に引っ越しても方徳を得ることはできません。

もし取り除くことができない場合は、便所を掃除してから引っ越すべきだとしています。