「西に黄色いものを置くと金運がアップする」という説があります。

今回は、この風水説について考察します。

 

古典派は「西に黄色」を否定できない

日本の現代風水は、江戸時代の家相学が進化したものです。

そして、家相の古法では、五行説が重視されていました。

五行とは木火土金水のことで、これらの気が各方位に宿っています。

 

五行説では、西には金気が宿っているとされていました

また、黄色は土気を表す色とされていました。

さらに、土の中から金が生じるという道理から、土気は金気を高めるとされていました。

つまり、金気が宿る西に、土気を帯びた黄色いものを置くと金気(金運)が高まると解釈できるのです。

 

大昔から伝わる五行説においても、「西に黄色いものを置くと金運がアップする」という説が成り立つため、厳格な古典主義者たちも、この現代の風水説を強く否定できません。

「一理あるな」と思えるような解釈なのです。

 

しかし、実は、現代の「西に黄色」という風水説は、必ずしも五行説の「土生金」の思想に基づいているわけではありません。

現代風水では、黄色を土気の色ではなく、「成熟」「黄熟」「黄金」を表す色とする傾向があるからです。

 

現代人の心を捕らえた「黄色」

風水好きの主婦が、金運アップのために黄色い財布を使うとき、黄色は金の象徴として扱われます。

金(黄金)の類似色である黄色の財布を持てば、リッチな気持ちになれるからです。

 

少し専門的なことを言うと、黄色は「実り」を表す色です。

秋の収穫期の稲が黄色だからです。(熟した黄色い果実をイメージしても良いと思います。)

そして、穀物を収穫をして、お金が入ってくることから、現代風水では黄色は金運カラーとして扱われます。

 

つまり、現代風水では黄色は土気の色というよりも、金気の色として用いることが多いのです。

 

「黄色は土気の色なので土生金の力で金運がアップします」と説明しても、一般の人には理解してもらえません。

五行の相生と相剋の理念すら知らない人に、土生金を語っても頭が混乱するだけです。

 

それに比べると、「黄色は金運カラーです」という風水説は、誰にでも理解できます。

容易に「黄金」や「黄熟」をイメージできるからです。

現代の風水は心理的効果が重視されているので、直感的にわかりやすい必要があるのです。

 

西と黄色を結びつける日本人

風水では、西は実りの秋を象徴する方位です。

ですから、「実り」を表す黄色は西に置くのが適切だとされています。

 

しかし、一般の人々は、西が秋の方位だということを知りません。

それなのに、「西に黄色」という風水説は、現代の日本人に受け入れられることになりました。

おそらく、多くの人は無意識に、夕日が沈む西の方位を「成熟」や「黄熟」と結びけるのだと思います。

 

どうしても無視できない気学の影響

家相の古法では、金運をアップしたければ、北西に土蔵を造るべきだとされていました。

北西には金気が宿っている上、「天」や「父」を意味する方位なので、尊貴な方位と考えられていたからです。

(北西に別棟があったり、「張り」があったりすると吉になるという家相説は今でも残っています。)

 

しかし、今は、西の方位のほうが重視されるようになりました。

これは、気学の開祖として知られる園田真次郎の影響ではないかと思います。

園田は、西を金運方位として、とても重視していたからです。

園田の家相説は過激な思想を含んでいるので、今の時代の価値観には適さない点が多くあります。

しかし、日本で独自に進化した風水を理解するには、江戸時代の家相や方鑑のほかに、気学も勉強する必要があると私は思っています。

 

なお、家相の古法を理解するには四天王寺流の『四神中央之巻』や『風水玄機録(家相玄機録)』がおすすめです。

→ 佐々木が推薦する江戸時代の家相書

 

また、園田真次郎の家相法を理解するには『家相精義』や『地相及家相の内容』がおすすめです。

→ 園田真次郎『家相精義』(現代語訳)