以下、葛野壮一郎著「宅地の張り欠けと建物との関係」の現代語抄訳(要約)です。

 

地相と家相の関係

家の吉凶は、地相と家相を総合的に判断する必要があります。

長田藁雀の『家相全書』には、代表的な例として以下の八つを挙げています。

 

一、北西張りの宅地、北西欠けの建物、南の入口

宅地の北西が張り出し、南に入口があるのは、吉であるが、上の図は、建物の北西が欠けているので、吉にはならない。

ただし、南東に入口があり、建物の北西が張り出ている場合は、地相の凶相を補い、吉相になる。

 

二、北東張りの宅地、南東欠けの建物、東の入口

宅地の北東が張り出し、東に入口があるのは、凶相だが、上の図は、建物の南西が欠けているので、災いが少なくなる。

ただし、北東に入口があり、建物の南西が張り出ていると、凶相が強くなる。

 

三、南東張りの宅地、南東欠けの建物、北の入口

宅地の南東が張り出し、北に入口があるのは吉だが、上の図は、建物の南東が欠けているので、吉にはならない。

ただし、北西に入口があり、建物の南東が張り出すときは、吉が重なって家が繁昌する。

 

四、南西張りの宅地、北東欠けの建物、西の入口

宅地の南東が欠け、西に入口があるのは凶相だが、上の図は、建物の北東が欠けているので、災いを逃れることができる。

ただし、入口が南西にあり、建物の北東が張り出ている場合は、凶相になり、百事滅亡する。

 

五、北西欠け、南東寄りの建物、東の入口

入口が東にあり、建物が南東に寄っているのは吉だが、上の図の宅地は、北西が斜めに欠けているので、吉とは言えない。

なお、建物を北東に寄せると、凶相が強くなる。

 

六、北東欠け、南西寄りの建物、南の入口

宅地の北東が斜めに欠けるのは吉相だが、上の図は、建物が南西に寄り、入口が南にあるので、災いが多くなる。

ただし、建物を南東に寄せて建てると、吉相になり、家が繁栄する。

 

七、南東欠けの宅地、北西寄りの建物、西の入口

建物が北西に寄るのは吉相だが、上の図は、宅地の南東が斜めに欠けていて、入口が西にあるので、災いがある。

また、建物が南西に寄ると、凶相が強くなり、家が衰微する。

 

八、南西欠けの宅地、北東寄りの建物、北の入口

宅地の南西が斜めに欠け、北に入口があるのは吉相だが、上の図は、建物が北東に寄っているので、家が発達しない。

ただし、建物を北西に寄せると大吉相になる。

 

このように、地相と家相を総合的に判断すると、多くの吉凶が生じることになりますが、これらは以下の三つに分類できます。

一、宅地と建物の両方が吉相。

二、宅地と建物の両方が凶相。

三、宅地と建物の吉凶が異なる。

 

一の場合は、吉ですが、例外があります。

たとえば、宅地と建物が同じ方位に張り出す場合は、凶相になるとされています。

 

二の場合は基本的には凶相ですが、条件次第では吉相になることもあります。

 

三の場合は、宅地と建物、吉と凶のどちらを優先させるかによって決まります。

 

そのため、鑑定者によって、それぞれ異なる判断が生じることになります。

 

なお、一般的には、地相の凶は建物の吉に減殺されます。

たとえば、北東張りの宅地でも、建物の北西が張り出ていれば吉相に転じます。

 

設計の際も、建物と宅地の関係を十分に考慮しないと、実用上、問題が生じます。

家相の吉凶説の良し悪しは別問題として、宅地と建物を総合的に判断するという考え方は、建築の設計においても大切であると言えます。

 

※この記事は、葛野壮一郎著『住宅家相之話 上巻』(高岡書店、大正七年、著作権保護期間満了)の現代語抄訳(要約)です。他の章も公開しているので、ぜひ参考にしてください。

→ 葛野壮一郎著『住宅家相之話』(現代語抄訳)