今回は水埜先生伝『四神備風水撰 家相極秘』(以下、『家相極秘』)に記された「龍地」について解説します。

この書物は、『四神中央之巻』と『風水玄機録』という奥義書を書き写したものです。

この2書は、天王寺派と松浦東鶏派の門下のための秘伝書です。

『家相極秘』は、後年に作成された写本の1つだと考えられます。

「四天王寺」や「松浦」の記述はないですが、「浪華 水埜先生伝」と記されています。

「水埜(みずの)」とは水野南北のことだと、私は思っています。

水野南北は、四天王寺の秋野家の風水堂で師範代兼目代を務めていました。

私が所有する資料にも、水野南北の方鑑の判断書や方鑑図(家相図)があります。

秋野家は、江戸時代後期に天王寺流の家相法を門下に教えていたので、水野が奥義書を誰かに伝授したのかもしれません。

実際に伝授していなかったとしても、後年の人たちが、この秘伝書のルーツを水野南北と考えた可能性は十分に考えられます。

 

さて、この写本の冒頭には「先地判形之事」と題されたページがあり、「龍地」についての記述があります。

とても興味深いので内容を紹介します。

まず、東が低くて西が高い土地を青龍地と呼んでいます。

四神相応の思想では、東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武がいるとされています。

朱雀の「朱」は赤色のことで、玄武の「玄」は黒色のことです。

これらは、五行の色を表しています。

東は青色で木を表し、南は赤色で火を表し、西は白色で金を表し、北は黒色で水を表します。

また、中央は黄色で土を表します。

これを、龍に置き換えて各方位を青龍・赤龍・白龍・黒龍・黄龍としているのです。

 

『家相極秘』の記述を見ると、高い方から低い方に向かう、土地の向きによって、4種類の龍地が定められています。

・青龍地:東が低くて西が高い。

・赤龍地:南が低くて北が高い。

・白龍地:西が低くて東が高い。

・黒龍地:北が低くて南が高い。

また、中央と周辺(四方)の高低差によって、以下の2つが定められています。

・黄龍地:中央が低くて四方が高い。

・四龍地:四方が低くて中央が高い。

 

さらに、人と各土地の相性(吉凶)が記されています。

5つの龍地には五行が割り当てられ、人も生年によって五行が割り当てられるので、相生・相剋・比和を考察すれば吉凶の判断ができます。

たとえば、青龍地は木性を帯びているので、以下のような吉凶の判断ができます。

・青龍地(木性)に木性の人がいると、比和なので「貧」。(『家相極秘』では比和はすべて「貧」とされています。)

・青龍地(木性)に火性の人がいると、木生火の吉なので「富」。

・青龍地(木性)に土性の人がいると、木剋土の凶なので「病」。

・青龍地(木性)に金性の人がいると、金剋木の凶なので「災」。

・青龍地(木性)に水性の人がいると、水生木の吉なので「栄」。

その他の龍地も同様に考えます。

 

昔の家相法は、五行の相生と相剋で吉凶を判断する傾向がありました。

この記事で紹介した龍地の吉凶判断は、それをよく示した事例だと思います。

 

『四神備風水撰 家相極秘』は、複製本の『家相秘伝六書』に収録されているので、興味がある方は参考にしてください。

→ 複製本『家相秘伝六書』